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総合ニュース
2014/10/03
建災防大阪、新規入場者教育の徹底を 労働災害発生調査報告書まとむ
建設業労働災害防止協会大阪府支部(蔦田守弘支部長)はこのほど、「会員の労働災害発生状況調査結果報告書(13年度および経年変化分析)」(A4版39頁)をとりまとめた。
同支部では、2006年の第1回を皮切りに、前年度に大阪府下の建設現場で発生した休業4日以上の労働災害の発生状況について全会員(約1000社)を対象とするアンケート調査を毎年実施しており、今般13年度に発生した労働災害の発生状況調査データについて参与災害統計部会で集計・分析を行った。
また今回は単年度のデータ分析ではつかみきれない過年度平均データや、経年変化データについても分析を加えるとともに、大阪建設業協会が実施した「職種及び年齢別人員構成調査」のデータも参照することで多面的な分析を行った。
今回集まった106件のデータについてみると、土木は1億円未満の小規模工事、建築では5~10億円未満と20~50億円未満の工事で発生が多い。過去8年間では1億円未満と、20~50億円でここ4年間は20%前後を占めており、「延労働時間が大規模工事より少ない1億円未満の工事における災害発生件数が多いことは、小規模工事における災害防止対策の重要性を示唆するもの」としている。
発生月は、過去8年間平均では7・9月が最も多い。被災者の年齢は、40歳代が30件、30歳代22件、60歳代21件の順。職種では、とび工が最も多く、とび土工、大工、鉄筋の躯体三役で34%を占めている。経験年数では5年未満が全体の4分の1を占め、現場入場日数では、最も多いのは61日以上で、7日以内が3分の1を超えている。
また不安全行動がなかったにもかかわらず、休業災害発生に至ったものが23%。不安全行動と年齢のクロス分析では、60歳以上の災害21件のうち、20件に不安全行動があった。不安全行動と職種のクロス分析では、災害全体のうち不安全行動ありの割合は77%だが、とび工は86%となっている。
森本克之同支部副支部長兼参与会委員長(大林組大阪本店安全企画部長)=写真左=は「労働局で把握されている数値に支部独自の調査も加え、労働災害防止に十分資する内容となっている」と話す。
茂山哲司同支部参与災害統計部会長(大成建設関西支店安全・環境部長)=写真右=は、今回の結果を踏まえ、「新規入場者教育をしっかりする必要があり、そのためには災害防止に対する事業主の姿勢が大切」と語っている。
同支部では、来年度以降も同調査を継続して実施する予定で、分析結果をもとに行政との連携のもと労働災害防止に取り組んでいく。