気になるキーワードを入力してください
建産EYE
2019/04/26
㈱タカミヤ、ダイバーシティを導入 女性を第1号に抜擢
足場をはじめとした仮設機材の製造・販売・レンタル事業を展開する株式会社タカミヤ(大阪市北区、髙宮一雅会長兼社長)は多様性に富んだ人材の養成、活用に積極的に取り組むため、『ダイバーシティプラン』を導入した。その第1号として現営業本部安全管理部の紀見香理さん=写真=が抜擢され、就任から間もなく3年目を迎えるのを機会に、紀見さんの横顔を追ってみた。
建設業界はどちらかといえば男性社会だが、女性に白羽の矢を立てたのは紀見さんが多様性に適した素質を備えているのと、女性特有のキメ細かさを現場の安全性向上に役立てようとの考えから。
同社は今年6月21日に設立50周年を迎えるのを機会に社名も「株式会社タカミヤ」に変更、ロゴマークも刷新、新基軸を打ち出し、企業基盤の強化に加え、大きな飛躍を目指す方針だ。
独自開発の次世代足場Iqシステムのシェアは3割(同社調べ)を占め、海外事業も黒字化し、さらには仮設機材のノウハウを生かして農業分野への進出に乗り出すなど、かつてのレンタルだけでない企業へと大きく変貌を遂げつつある。
ダイバーシティ計画はその一環といえるもの。計画の達成には多様性と柔軟な発想を持った人材の養成と同時に、ユニークな人材の発掘を図り、斬新なアイデアが生じやすい環境を形成し、社会の多様なニーズへの対応力を高め、時代を先取りする企業体質へ一段と加速させる狙いがある。
◇女性ならではの視点で現場の安全性を向上
そのダイバーシティ計画の人材募集にいち早く反応を示し、応募してきたのが紀見さんだった。
「工事部などの営業事務としてレンタルや工事の営業や施工管理のサポートを行ってきました。また見積書作成の手続きのほか、協力会社への指示を行うこともありましたが、基本的には電話でのコミュニケーションだけで、外に出ることはなかった」
「ただホテルなどの勤務経験があり、接客、コミュニケーション力には自信があった」
「『元請会社や他業種の方から女性ならではの視点で、さまざまな所に気づいてくれるので助かる』とのありがたいお言葉をいただけるようになった」
「特に作業効率向上・災害対策につながる6S(整理・整頓・清掃・清潔・躾・習慣)推進のために提案した『整理整頓プレート』は全国の現場の休憩所に設置されたほか、元請会社からも現場で使用したいとのご依頼をいただいた」
現場に出るようになって2年が経過した。
「今後は足場にまつわる法的知識を今以上に身につけ、一層自信を持って、安全性向上に取り組めるよう学んでいきたい」
「お客様からもタカミヤに材工(機材と施工)を依頼すれば、次世代足場、安心して任せられる職人、行き届いた安全管理まで出そろうなどを、感じていただけるようになれば幸いです。さらにはより一層女性の意見やアイデアを引き出せるような部署づくりを目指していきたい」
しっかりした意欲満々の抱負が次から次へと飛び出し、圧倒される雰囲気を周囲に醸し出す。
「私自身も女性管理職を目指し、どんどん女性の活躍の場を広げていきたい。新しいチャレンジには勇気が必要ですが、日頃の努力が身につき、達成感もひとしおです」
入社したのは2004年、業務課に配属された。受注、配車、受付業務を担当、11年にはレンタル営業事務を経て、工事営業事務として営業や施工管理をサポートするようになった。
17年から現在の『ダイバーシティプラン』第1号として安全管理課(現安全管理部)に異動した。
主な業務内容は、協力会社作業員の行動チェックと指導、人材育成(安全帯の使用状況や不安全行動、作業態度、言葉遣いや服装の乱れ、足場での是正箇所等)、足場のチェック(落下・墜落する恐れのある箇所がないか、材料の未設置や品質不良はないか、法律に基づいた足場に組まれているか等)、元請会社への点検内容の報告や現場状況の確認、点検票の作成等。
日頃、このように多岐にわたる重要な業務に携わっており、女性ならではのキメ細かさと、目配りの素晴らしさを関係者に感じさせる頼もしい姿をみせている。今後の一層の飛躍に期待したい。