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建産EYE
2019/01/24
型枠工事業団体「型成会」が後継会長選びに着手
関西の型枠工事業32社で組織する「型成会」の水野弘量会長(宇光建設社長)=写真=は、就任して約14年を経過したことから、後継者選びに着手した。
そこで、水野会長に後継者の資格条件や型枠工事業界を取り巻く環境などをお伺いした。
――業界内での会長の信頼は随分と厚い。その環境下での後継者選び、まず心境からお伺いしたい。
「三代目会長に就任して以来、約14年を経過した。そろそろ若い世代へのバトンタッチを図りたい。20代~30代の若い人たちとの交流がほとんどないので、これを契機に若い人たちとの交流を積極的に進めたい。『型成会』の設立は91年と30年近くに達しており、会員企業の中の数社のトップ年齢は60代以上と高齢化が進んでいる状態だ」
【型枠工事業の重要性増大】
――高層ビルの建設ラッシュやコンクリート建築物の増加から型枠工事業界の重要性が非常に高まっていますね。しかも、地球環境の変化による異常気象から耐震設計や防災対策の必要性が市民の間でも認知されており、それだけに会長の役割は大きい。
「会員同士の良いアイデアがあれば、オープンにして普及拡大を図っている。今年は、いろいろな業者に集まっていただき、商品を紹介する機会を設けた。既に採用し、効果を確かめた会員から薦められた商品を購入し、情報共有する方法も採用して高い評価を受けている。例えば、型成会の前会長だったフォービルの森本隆之会長が開発された軽量で規格化された作業性に優れたFRP(繊維強化プラスチック)製の型枠『ガッチ』(商品名)の公開による披露もした」
――情報共有に積極的な取り組みを行っておられますね。
「情報共有なども含めた一連の取り組みで切磋琢磨を図り、会員企業の社会的信用度を高めていきたい」
【政府が外国人技能者の養成】
――建設業界は人材不足が深刻ですが、今回、政府は外国人技能者の受け入れ法を決めましたが、人手不足の緩和に役立てられそうですね。
「当社では、ベトナムからの実習生4名を含めた16名の体制だが、外注では60名の規模だ。型枠は単純労働ではなく、日本人と全く同じレベルのことができるとは限らないので、難しいと思う。政府には受け入れ実習生に日本語と技術の育成機関の設置を望みたい。技能者の高齢化が進んでいるだけに、将来性のある若い外国人技能者を採用できれば、非常にありがたい。ベトナムの外国人技能実習生については、日本での研修もよいが、政府が援助し、日本での研修生を自宅から通学できる現地の送り出し機関での養成も一つの方法だと思う。インドの元請の支店から技能者の良い情報が寄せられたことから同時にインドにも赴きたい。ベトナムの次はネパール、ミャンマー、マレーシアと範囲は広がっており、その次がインドへと移りつつあり、今回のインド訪問はそういった面からも興味深い」
【幅広い分野でレベルアップ】
――現在はどういった分野での仕事が多いですか。
「発注形態は現場の総括所長単位で業者が決まり、その担当者が病院ばかり手掛けていると、病院に集中している状態だ。技術や材料がそれに特化できるのでやりやすいメリットがある。それ以外では、吹田市での国立循環器病研究センターの新築工事や大阪ミナミの御堂会館跡地にホテル等が入るビルの工事も手掛けている。大阪拘置所新営第二期工事は400㎡と規模は小さいながら、それなりの人員を必要とする。どのような工法で、どのような材料を使うかによって、それに合った技能者を送る。その結果、思いどおりの出来栄えを達成したときは実にやりがいを感じる」
【大阪万博はIRに特化】
――大阪港の夢洲での大阪万国博覧会の開催は決定しましたが、さぞ忙しくなるでしょうね。
「万博のパビリオン関係ではそうは望みませんが、夢洲は広大な用地があり、万博よりむしろ、それに先行して進められるカジノを中心としたリゾート施設を建設するIRインフラに可能性を見出していきたい。また政府が公共施設のインフラに力を入れる方針なので、チャンスがあると思う。そのためには技術、工法の一層の充実、向上は欠かせられない」
――ありがとうございました。