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建産EYE
2016/08/31
生産性向上の先進例~大阪川島商店~畳製造のオール自動化を実現
建設業界では労働力不足対策として生産性向上が緊急課題だが、その先進例ともいえるのが畳生産でオール自動化を実現した㈱大阪川島商店(本社・大阪市西区北堀江2ー15ー18)である。そこで大阪市東住吉区にある同社の最新鋭工場を見学、人工知能などを採用した全自動化の素晴らしさを実感した。
同社は1950年に創業した。京阪神畳事業協同組合の理事長を務める飯田良太郎会長は28歳で2代目社長に就任、若くして経営に携わった。現在は息子の和秀さんが3代目社長として会長とともに2人3脚で経営に当たる。最新鋭設備を整えた工場は近鉄南大阪線の河堀口駅から徒歩10分ぐらいのところにある。
手作業の多い畳業界の中にあって、25年前から機械化に踏み切った。さらに畳製造の完全自動化を推進しようと、1年半前に京都から大阪市内の現所在地に拠点を移した。技術者は2人の少人数。新設の工場だけあって、清潔感があふれ、最新鋭機が並び、また自動集塵装置が設置されているため、埃一つ作業場内には舞っていない。その真新しい工場内にイグサの香りが漂う。
「手作業に比べ生産コストは下がったものの、機械などの設備投資に3000万円を投資した。思い切った合理化を追求しようとすれば、先行投資は避けて通れない。機械性能は格段の進歩を遂げ、しかも故障も少ない。全自動化に踏み切ってよかった」という。
手作業だと10人で1日100畳程度しか製造できなかったそうだが、現在はオール自動化により2人で1日あたり80畳の製造が可能となり、品質も安定、納期も厳守でき、メリットは多い。
「将来は7人で1日に300畳製造できる体制にしたい」と、さらなる飛躍を目指している。工場内も既に、将来を見越したレイアウトになっており、2階は事務所兼材料、包装材の置き場。
現在製造されている畳床はポリエチレンフォーム板を心材として使用、上下を木質繊維板で構成された畳ボードが主で、昔ながらの稲藁床に比べ重量は15kgと半分以下に軽量化されている。
縁を起こす以外は機械作業。畳のサイズは、同じ6畳の広さでも真ん中の1枚を除いてすべて異なり、各部屋の寸法を測って、コンピューターで機械に指示する仕組み。
「生活様式の変化により和室が減少し、阪神大震災の頃から畳離れが始まり、新築住宅における畳の需要もピーク時の3分の1程度に減っており、10年前に新築から補修工事に転換した」
「畳表の材料であるイグサは10年程前からほとんどが高級品になっている。和紙製の畳表は変色や日焼けをしないが、畳独特のイグサの香りがしない。イグサの8割は中国産で、2割が国産の比率」という。
「今では昔のように畳表を裏返して使うことがなくなった。表替か新畳にする。30年位前までは現場で裏返し作業をやっていたが、騒音等の苦情が多いためできなくなった。現在は一から手で縫う職人はいない」
環境問題も手伝って、畳づくりの現場風景も随分と様変わりしたといえよう。
「寝室にも、リビングにもなるなど用途が多いのが和室の良さ。畳表にイラストを入れてみたりもしており、若い人にも興味を持ってもらえるように一層努力を重ね、青畳の良さを伝えていきたい」
最近は腰痛対策や姿勢の矯正から畳を見直す動きもある。本社所在地の北堀江一帯はかつて木材の集積地だった。今は銘木店が2、3社ある程度。ファッション街に様変わりしつつあるが、そこに本社を構えたのも回帰の現れか、面白い。
チャレンジ精神発揮の前向きな姿勢が同社発展の要といえ、建設業界は120万人の人手不足が想定されている。生産性向上が労働力不足を補う決め手の1つとされ、そのヒントを与えてくれる良い事例といえよう。
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