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建産EYE
2015/03/05
阪神造園建設業協同組合、「みどり」のプロとしてより良い公園管理運営を
緑によって快適に創出される住みよい環境と美しい景観づくりをめざして、近畿圏で造園建設業を営む企業で構成する阪神造園建設業協同組合。組合では公園緑地・都市緑化等の公共工事を共同受注するなど、緑の専門家集団の技術力を持って、都市公園や緑化の良質な施工と管理を行っている。また、緑の大切さを感じさせる都市景観の整備や自然環境を護るため、緑化技術の向上や人材育成の事業にも取り組みを行っている。更に、近年では、淀川河川公園などの大きな都市公園の管理運営も行っており、時代のニーズに合わせた緑空間のマネジメントにも取り組んでいる。
――組合について。
70年に開催された大阪万博での大規模な造園工事を完遂させるため、小企業主体の阪神間の造園会社が協力して65年9月にこの組合を設立し、現在24社の造園建設業者で組織している。この万博工事を契機として造園業が工種として分類され、その後、造園工事業が専門工事業として認定されたいきさつがある。
組合は、共同で公共事業を受注するため、官公庁の官公需適格組合の資格をもっている。共同受注によって組合員の経営を安定させ、また、事故などが発生した時の傷害・損害保険等に団体で加入することにより組合員へのバックアップが充実される。
さらに、人材育成を大きな柱にし、以前は、移植や石積み等の造園技術のほかに土木や測量などの技術を教える「阪神造園高等職業訓練校」を設立したこともある。現在では大阪府職業能力開発協会と提携して、優秀な造園技術者を認定する造園技能士検定の試験や講習を実施して、造園界の若手技術者の技術力向上に務めている。
――都市空間においての緑化の取り組み。
90年代までは公園整備や街路樹などの緑地帯整備の公共造園工事が中心であったが、公共事業の減少によって、必然的に組合の事業内容も、これまでに整備された公園や緑化施設のメンテナンスが主体になってきている。都市の緑のストックを有効活用する時代になってきている。公園の指定管理者制度もその表れだと思う。
良好に管理された緑のある環境は大切であり、そういう環境を創り出す組合の役割を社会に発信し、アンテナ役として緑によって生み出される都市環境や景観造りの大切さを広めていきたい。
――管理運営業務について。
10年ほど前から共同受注で指定管理者や維持管理業務に携わり、現在では大阪府営公園7か所でJV指定管理者となり、大阪市営公園2か所、万博記念公園の日本庭園、淀川河川公園で維持管理業務を行っている。その中で、淀川河川公園運営維持管理業務を国の市場化テストとして13~15年度までの3年間で阪神造園建設業協同組合を代表企業とし(一財)公園財団を構成企業とするJVで行っている。
指定管理者や管理運営業務は、3年から5年と長い期間にわたり対応しないといけない。1企業だけではなかなか対応が難しくなってくるので、団体としての組合のメリットを活かして対応することで良好な運営維持管理ができ、さらに、組合企業としても利益は低いが一定した仕事に携わることができ、企業の安定運営が図れる。
――淀川河川公園運営維持管理業務をしての感想は。
淀川河川公園は八幡市の三川合流地区から大阪市海老江地区までの河口約37㌔、面積240㌶。年間約600万人の利用客がある。そのために18地区に分けて管理者をおき、日々の維持管理や巡視・巡回をしている。これまで培った都市公園の運営維持管理や植物管理等の経験を活かし、「みどり」のプロ集団として、植栽等の整備など、組合のノウハウを活用して、効果のある管理運営を心がけている。その一例として、背割提地区にはソメイヨシノの桜並木があり、人気スポットとなっている。淀川の財産として大事に維持管理しなくてはならないが、一般的にソメイヨシノの寿命は60年といわれていて、背割提地区のソメイヨシノは、40年ほど経過している。これから老朽化してくると想定されることから、みどりのプロとして、長寿命化に向けて検討をしている。組合のなかの樹木医を中心にグループを立ち上げ、どのように長寿命化できるのか国交省に提案している。植え替えることは簡単なことであるが、雄大な景観の桜並木を地域の風景として残していけるようにしていきたい。造園技術者として力の発揮しどころである。また、公園内に花壇を設置し、周辺住民の方々や園児などに参加していただき、球根の植え付けを一緒にしている。みどりに親しんでいただけることは大事なことだと思っている。
また、JVの業務として、遊具などの他野球場やテニス場などスポーツ施設の施設維持業務や収益業務等を行っている。更に、マラソン大会をはじめとしたさまざまなスポーツイベントを共催しており、スポーツを通じて淀川河川公園の良さを知っていただきたい。淀川河川公園では日頃からの健康増進やスポーツに触れ合って楽しんでいただけるように、安心して使用していただける公園にしていきたい。
何よりもこの公園の管理において大事なのは出水対応だと思っている。この2年間で13年の台風18号等の集中豪雨などを経験した。出水時期の前には、管理詰所やトイレ等流失の恐れのある施設を堤防の上まで移動する訓練を毎年実施している。安全・安心をモットーに河川管理者と密に連絡を取りながら管理している。
――残り1年となって、今後の抱負は。
この2年間で得た経験を踏まえて、「みどり屋」としての特色をできるだけ表現していきたい。その代表がソメイヨシノの長寿命化であり、淀川河川公園の特徴的な植物景観の創出である。自然美溢れる公園を表現できるような取り組みをしたい。日本古来の草花である菜の花やナデシコなどを河川敷に復活させ花の景観を作り上げたい。そのためにも、よりよい管理運営を心がけ、地域の皆さんと一緒に取り組みを進めていきたい。
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