気になるキーワードを入力してください
建産EYE
2015/01/22
DIYで日本の住宅環境を変える
㈱大都 山田岳人代表取締役
9㈱ 久田カズオ代表取締役 近年、古くなったものを再生して新たな価値を生みだす「リノベーション」や、理想とする生活に合わせて自らの住環境を自らの手でつくり出す「DIY」が国内でも広がっており、今回、DIYによるリノベーションによってニュータウンに新たな住空間を生み出し、若年層を呼び戻す「泉北ニュータウン 公社茶山台団地DIYリノベーション」に参加している、㈱大都の山田岳人氏と、9㈱の久田カズオ氏にDIYリノベーションについて話を聞いた。
泉北NT公社茶山台団地DIYリノベーションは、「DIY Renovation」でニュータウンに新たな価値を「みんなでつくる」を取り戻すコンセプトに、デザインオフィスの9により、おしゃれなライフスタイルに憧れる新婚世代や子育て世代に大胆な間取り変更や水回り設備の刷新など魅力ある住戸プランを提案する。また、大都によって、実際にリノベーションを行う住戸を舞台として、家づくりに関心を持つ人と建築学生等を対象にしたDIYリノベーションスクールを開校し、リノベーション住戸を作りあげる。スクールは、10月4日から開校しており、実際の団地で内装の解体からデザイン・大工やペンキ工事までを行い、リノベーション住宅が完成するまでを学べるワークショップ。リノベーションの知識として必要な床下や壁の構造なども学ぶことができるほか、すべてのカリキュラムに参加すれば、一通りのリノベーションノウハウを取得できる内容になっている。スクールでは9の協力会社の職人を講師として参加し、午前中は講座が行われ、参加者のレベルに合わせた班分けを行い、午後から実際の住戸で作業を行う。3月のDIYリノベーション住宅の完成を目指し、ワークショップを進めており、完成後には実際に入居者の募集を行う。
――茶山台団地DIYリノベーションスクールの始まりについて教え下さい。
大都 団地も少子高齢化が進み、空家などの課題があるなかで、今まで通りではいけないとの思いから、大阪府住宅供給公社と団地での新たな展開を考えました。そのなかで、DIYという、自分たちでリノベーションが出来たらおもしろいとの思いから大阪府住宅供給公社、堺市、大都、9の4者で今回のDIYリノベーションスクールを始めることになりました。スクールは参加者(定員30人)を募集し、参加料を徴収してワークショップ形式で行うというアイデアを9さんからいただきました。
――それぞれワークショップでどのような役割分担でしょうか。
大都 ワークショップでの窓口や参加者の募集、管理面に携わっています。弊社は総合金物工具商社でもありますので、その日に使用する工具や資材を用意しています。
9 建設業の認可を取得しているので、関連会社の職人さんを講師に招き、実際に現場で指導にあたっています。
――リノベーションの完成後には実際に入居者の募集を行いますが。
大都 参加者が自らの手で施工して、実際に入居者の募集を行うこは日本で初めての取り組みになると思います。今回のワークショップには価値があると思います。
9 職人はあくまでもサポート役であり、参加者にはプロの仕事として行っていただいております。そのためにも、実際の住戸で参加者が行うので、練習して参加者のレベルを見たうえで、グループに分けて5戸を同時に施工しています。ワークショップを通じて、本当に募集できる住戸の仕上がりを心配されている方はいると思いますが、時間をかけて丁寧に作業を進めているので、プロと遜色のない作業を行っています。
――リノベーションの魅力について教えて下さい。
9 建物を再生することや改修することだけがリノベーションではなく、「何が最適なのかを見つけるのがリノベーション」とし、そのなかで使い道を変えたり、新しい使い方を見つけることがリノベーションであると考えています。建物が持っている問題点を解決に導くことや、ある程度の制限があるなかでのリノベーションをすることで何ができるのかを考えることが魅力でもあります。
――今回のワークショップでの経験を行かして今後の抱負を教えて下さい。
大都 2015年のトレンド予測のキーワードで「リノベパーティー」と取り上げているところがり、それを見たとき、「まさに私達のことをいっている」と思った。リノベーション業界が広がり、うまく情報を発信していきたい。賃貸物件でもリノベーションができるように変わってきているように、リノベーションを自分達で行うことによって、コスト縮減だけでなく住宅に愛着がもてるようになります。今回のワークショップがリノベーションのひとつのあり方として、示すことができたのではないかと思います。事業としての成り立ちや可能性を秘めていると期待しています。
9 リノベーションを体験した方は、ひとつのものをみんなで作ることは楽しいと感じ、どんどん自分達で作りたいという考えに変わっていくと思います。このようなワークショップがあって、リノベーションについての勉強をできる環境があれば、広がっていきます。専門的な設計や電気設備などの作業を私達がサポートするような役割を果たせればと思っています。そのためにも、リノベーション学校と併設したリノベーションモデルルームを作りたいです。そこで、作り方の勉強から完成形を見せることができるモデルルームを作りたいと思っています。ぜひとも大都さんと一緒に展開できたらと考えています。そして、DIYで日本の住宅環境を変えたいという気持ちを持っています。