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建産EYE
2021/12/10
一般社団法人リペア会、土木・建築構造物の調査から工事までをワンストップで レジリエンスエンジニアリングによる地域力と技術者能力の向上
リペア会は、土木・建築構造物の調査・診断から補修・補強工事にいたるまでをワンストップで提供するための任意団体として14年に設立した。建設コンサルタント会社や施工業者、機械リース会社、材料メーカーなどの各分野において第一線で活躍している71社が会員となっている。
14年に初代会長に照見工業の磯田延社長が就任し、メーカーや工事の技能集団がスポットを浴びて、活躍できるための団体を目指して設立した。会員会社数は当初の10数社から5倍以上の60社を超える数となった。会員の持てる力を結集し、輪を広げながら技術開発に努め、安心して利用できる安全な社会基盤の再構築を目指し、16年4月に一般社団法人の登録を行った。16年には九州支部、17年には関東支部、近畿支部、中国支部、四国支部、中部支部を設立し、全国へと展開を図っている。20年5月に理事改選となり、白木渡香川大学名誉教授が会長に就任した。
土木・建築構造物の老朽化が進む中、インフラメンテナンス事業の重要性が認識されるとともに、リペア会の活動も多くの企業と管理者の関心を得て活発化している。今後は、国土強靭化関係予算の重点項目として挙げられている「インフラ老朽化対策のための戦略的な維持管理・更新の推進」への貢献がリペア会の重要な役割と考えている。
道路管理者による橋梁・トンネル等の道路施設の構造物を5年に一度、近接目視点検することが義務付けられた。土木・建築構造物の調査・診断から補修・補強工事までをワンストップでの提供を目指し、施工業者とメーカーの理想的な組み合わせを比較検討・提案(工法及び材料・製品開発)、発注者(官公庁・団体等)より技術的相談などがあれば、アドバイスや学術的な課題解決を図る。さらに、会員各社の工法とリペア会内で開発した技術等を積極的にPRしていく。
リペア会において、ウイズコロナ環境下で、産学官と民間企業を通じて会員各社のニーズ・活きた連帯の場を提供し、レジリエンスエンジニアリングによる地域力向上、会員各社の技術者能力の向上に努める。機器の遠隔操作・ロボット化の組み入れ、積極的予防保全の導入提案等を推進する。事業者・発注者のニーズと会員各社のシーズを組み合わせ、新しい技術として提案していく。新技術開発・特許取得・実用案取得につなげて会員各社の相互技術力向上につなげる。その中で、定例会、技術部会、SDGs部会、支部活動などに取り組んでいく。
定例会では、産学官各方面から講師を招き、基調講演会を交えた技術研修会を行っている。12月23日にはWebを活用した31回目となる定例会を開催する。
さらに、リペア会では、補修・補強事業の技術者と直接指導・監督する人の能力を担保し、施工品質の向上・確保を目的として「構造物の補修・補強技士試験」を実施している。構造物の補修・補強技士試験合格者に付与される構造物の補修・補強技士の資格は、国土交通省の登録民間資格に認定され、鋼橋・コンクリート橋の点検・診断の合計4部門において、専門的な技量を有する技術者としてこの分野において広く認知されるようになってきた。21年6月には、東京、大阪、名古屋、広島、高松、福岡の6会場でTeamsによる遠隔講義を採用して行った。
今後は、民間企業だけでなく地方自治体職員等の資格取得者を増やすため、資格取得に関する勉強会等の実施を含めて、さらに検討を進めていく方針。
鷹取利昌理事(KMC取締役会長)は、「社会の実情に対応していくことがリペア会の理念となっている」と強調し、「国づくりへの貢献とSDGsにも積極的に取り組んでいき、さらに、レジリエンスエンジニアリングによる地域力向上、会員各社の技術者能力の向上に努めていく」と話す。