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総合ニュース
2014/11/28
日建連関西支部、天ヶ瀬ダム再開発を府立高専生徒が見学
日本建設業連合会関西支部は21日、「100万人の市民現場見学会」の一環として、宇治市宇治金井戸で行っている天ヶ瀬ダム導水路トンネル工事(天ヶ瀬ダム再開発事業)の現場見学会を開催した。大阪府立大学工業高等専門学校・総合工学システム学科4年生都市環境コースの生徒35名と教職員4名の合計39名が参加し、普段は見学することができない工事現場内部を興味深く見学していた。
冒頭の挨拶で、大嶋一範・近畿地方整備局企画部企画課課長補佐は、「皆様が勉強している土木の学問が実際の現地でどのように使われているか見てもらい、そして、国が行っている事業の大きさを体感して欲しい」と述べ、また、吉永清人・日本建設業連合会常務執行役は、「土木はなかなか見えにくい所も多いですが、非常に大事な仕事であることを今回の見学会で体感してもらいたい。そして将来、皆様のような若い人達と一緒になって仕事をできることを期待している」と述べた。
天ヶ瀬ダムは、淀川の洪水調節・京都府への水道用水の供給・天ヶ瀬発電所における発電を目的とし、宇治市槇島町六石山(左岸)~槇尾山(右岸)に建設されたドーム型アーチ式コンクリートダムである。ダムは、54年に「淀川水系改修基本計画」が策定され、建設する運びとなり、総工費65億円を投じ59年に着工、64年に完成した。
今回の天ヶ瀬ダム再開発事業では、宇治川・淀川の洪水調節、琵琶湖周辺の洪水防御、京都府の水道用水の確保及び発電能力の増強、また、現在の放流能力を増強するため、天ヶ瀬ダムの左岸側にトンネル式放流設備を設ける。このトンネルは鳳凰湖から流れる水を入口である「流入部」に流し、流入を下流に導く内径10・3㍍の大規模円形トンネルである「導入部」を流れ、放流量を調節する「ゲート室部」(主ゲート・副ゲートの各2門)まで放流、そして、放流水の勢いを緩めるための施設である「減勢池部」に行き、出口である「吐口部」を通り、宇治川に繋がる構造となる。
今回の見学会では、ゲート室部とトンネル導流部を建設するゲート室部他建設工事の工事現場やゲート部室に設置している、径24㍍×高さ34㍍ある主ゲート部立坑を地下から見学。さらに流入部とその手前にある前庭部を建設する流入部建設工事の工事現場の見学や概要の説明を行った。
ゲート室部他建設工事の概要は、延長(立坑34・3㍍、水平坑393・598㍍)、掘削断面層(立坑514~543㎡、水平坑93・1~184平方㍍)。内径約26㍍の立坑を設けた後、立坑から流入部に向けて直径約10㍍で長さ約320㍍の導入部のトンネルをNATM工法で築く(ゲートは立坑の中に設置)。施工は鹿島が担当。工期は16年2月29日までとなる。
流入部建設工事の概要は、掘削2万9400立方㍍、鋼管矢板94本(径1500㍉17~45㍍)、床版コンクリート1000立方㍍、止水(ガーデングラウト)、仮設(仮桟橋工、濁水対策、他)、躯体(一部)。流入部は施工ヤードを造成後、仮桟橋を設置、その後、仮桟橋上から鋼管矢板を打設し仮締切を行い、仮締切後は立坑内部を掘削し躯体を構築する。また、前庭部は、流入部の施工と同時に水上から施工を行い、水上から超大型のクレーン台船により鋼管矢板を打設し、所定の深度で鋼管矢板を水中切断し、その後、鋼管矢板内を新工法のT―iROBO UM(水上の台船から地盤にシャフトを降ろし、そのシャフト昇降する作業機に様々なアタッチメントを取り付けて砕岩、掘削、ズリ処理、精密測深、撮影などに一連の水中作業を遠隔操作で安全かつ確実に行える機械)で水中切断する。施工は大成建設が担当。工期は16年2月29日までとなる。